必 ず 明 日 が あ る と 、 誰 に 言 え よ う か
テレビでは脳天気に誰かが話をしてた。
だからなんかむかついてチャンネルを変えた。
そしたら今度はマジメそうに話をする誰か。
結局の所、僕は気分が悪い。
胸がむかむかして、妙な具合に手のひらが、あるべきようにないような感じがするのだ。
「たーく、出掛けるの?」
「ん、あー、電池買ってくる」
電池なんて、本当はどうでもよかった。
てか、さっき母さんが買ってきたらしき電池がテーブルの上の袋からはみ出していた。
何型?ときかれたから、そこにあったのとは違うのを言っておいた。
そんな僕に、彼女は気付かない。
僕がいつから自分を俺と言うようになったのかを、僕は知らない。
電柱は等間隔に並んで、その下を照らしている。
ときどきある鏡は、絶対に僕をそのまま映しはしないし、角度によっては何も映らない。
それなのに等間隔に。
明かりが必要な人は、等間隔にいるわけではないのに。
あの光は気休めにしかすぎないかもしれないのに。
なんとなく、あの光に当たったら死ぬ、とか、わけの分からない決まりを作る。
そんな遊びを、彼女は一緒にやってくれるから。
卒業する必要なんて、そこにはなかったから。
だから繰り返し、バカみたいに横隔膜を痙攣させて、笑った。
ともだちだから。
あいつがもうそんなことしないと言ったら、バカは僕だけになる。
ともだちだよね?
いつからそれは確認になった?誓約になった?
無謀なことをするたびに、彼女は笑った。
リスクが大きいのに、なんの得にもならないこと。
僕はいつから何をしようかと思案するようになったんだろう?
僕がいくつものおかしな事をするたびに、彼女は笑って。
けれど惨めになるのはなぜ?
彼女があいつの指先の少し赤くなってる所が綺麗だとかいうことを
同じように頬を赤くして話し始めた時に笑い飛ばすことができなかった僕は、ぼくは。
おかしくてたまらなかったことが、いっぺんにどうでも良い事になった。
ともだちのはずなのに。
コンビニの明かりが見えてきたけれど、財布を忘れていた。
だから電池は買えなかった。
帰り道の電灯は、やっぱり等間隔にならんでいた。
そんなんじゃ見えないのに。
真っ暗よりも、ほの明るい方が視覚を狂わせることを、僕は知ってる。
ブラウザバックで戻ってね。
|