初恋は実らないって言うけど


初恋じゃなくたって実らないものは実らないものなのだ。






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  モ モ  ☆ ★     ★   
        
          





「隆介ー!なぐさめてー!」



「うわっ、鼻水でてる!」
「うそっ!マジ?」
「嘘だよ」
「うわーっ、アンタだけはそういうことしないって思ってたのに(いじいじ)」




「で?どうしたんだよ。本当に何かあったんだろ」



なんだかんだいって、隆介は頼れる存在なのじゃないかと思うのです。
だって今だって、寒いんだか暖かいんだか分からない温度で(むしろ寒いだろ的温度)
それでも私がちょっと欲しかった冷たいピーチネクターなんて買ってきてくれたから。
しっかりヤツのはあったかいのなんだけど。



そんな肌寒い(やっぱり寒いかも)この時節。屋上という避暑地にまできてくれて。
ああもう、多分5限も始まってるし。


「うん、失恋いたしました」


「マジに?」
「マジさ、こんな情けない冗談言えて?」
「いえないね」
「でしょ?」



「「・・・・・・・・・・・・」」



なんだか結局、頼りになるのは恋愛以外の分野のようです。



「私ね」



隆介は相槌打ってくれた。
話すよりも相槌を。



「結局の所、彼の前では私じゃなかったのかもしれないって気付いたんだよね。けど一生懸命な時はそんなこと気付かないじゃん」



本当の所は、みんな気付いてたらしい。
女の子らしさって言葉は好きじゃないけど、認めるならそういう子を演じてたらしい。


「その嘘ついてる所に自分で気付いてたらよかったんだけどさあ、気付かなかったんだよ」
「嘘って?まさか、経歴詐称・・・?(交際歴なしとか)」
「バカ隆!そんなの無意識でやってたら夢遊病だよ!」
「だけどさあ、なにやったんだよ」


「今みたいな掛け合いとか、私からしたら普通でしょう?それに気付かなかったんだなー」
「まさかどついたとか?」
「限りなく正解。ああもう泣きたいよ私は。普通にそれやって、次の瞬間相手青ざめてるんだもんよ」
「そりゃあそうだろうねぇ、エリって黙ってる時とのギャップが激しいし・・・」


ふはーーーっ。


「自分が乗ってて気持ちよく話してる時にもさ、そういうのに気をつけなきゃいけないのって、なんか馬鹿らしいじゃん?けど私それでもヤツのそばにいられるならまいっかとか思っちゃったんだよねー。ホント馬鹿」


溜め息が出る。
ホント、溜め息だよ。それしかない。涙も出ない。
縋る女とか、可愛い子がやれば可愛いかもしれないけど私はごめんだと思ってたのに。
しっかりと嵌まってるじゃないの。



「なあエリ、もいっかいちゃんと考えてみようよ」
「?」
「本当にあいつのこと、好きだと思ってんの?」
「えぇ?そのことで相談してるんだけど」
「だってお前、さっきからあいつの呼び方、彼からヤツに変化してるし」
「まあ」
「まあ、じゃないって」


ぼーっとしてるように見えて、なかなか隆介は洞察力があるのかもしれない。
うーん、本当に彼が好きかどうかでしょ?



「だああっ!!好きだったのにいくら何でも振られたとたんに消せるわけないし!余計思いだしたっ!」
「ワリィ。だけどさ、お前は今のエリでいるのがいちばん楽なんだろ?あいつのことなしにしたらさ」
「そりゃあ・・・」
「だったらそのままを自然に出せて、なおかついい男ってのを探せばいいだろ?」
「あんた、バカでしょ?それがいないからこうしてへこんでるんじゃない」



「まずは男をみる目から磨くこったな」
「何よー、まるで私の目が曇っているとでも?」
「曇るどころかもう前見えてないだろ」
「何よーっきぃーっ!」



隆介の言わんとする所は、なんだかいつもよりも赤いほっぺたとか、あと必要以上のボディーランゲージを交えて話す所からなんとなく分かった。
私も隅に置けないわね、ほほほ。
けど本当に、隆介のことは好きだよ。ちょっと、隆介のと一緒の種類とは思えないけど。
(だってこんなにウケる人と真剣に恋愛するとは考えられない)



けど。



「・・・ありがとね、隆介」



「・・・おう」



近い将来、私は幸せになれそうな、気がしてきたかもしれません。
まだ分からないけどね!





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